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「数理物理」講義ノート

第九章:ストークスの定理とガウスの発散定理

ストークスの定理

ある力[Graphics:Images/index_gr_1.gif]があり、その力の回転、

[Graphics:Images/index_gr_2.gif]

を満たすとき、 ストークスの定理より

[Graphics:Images/index_gr_3.gif]

が言える。ここで、[Graphics:Images/index_gr_4.gif]は線積分の積分路である。物理では、 この力[Graphics:Images/index_gr_1.gif]を保存力と呼び、

[Graphics:Images/index_gr_5.gif]

を満たす、位置エネルギーUが存在することを意味している。そして、仕事Wは、元に戻ってくる道筋の場合、0であり、そのことは、2点間をどのように進んだかに関係なく、位置エネルギーだけで運動エネルギーが決まることを表している。具体的に、Uを与え、その力での仕事Wは、積分路によらないことを、数値的に調べてみよう。具体例として、

[Graphics:Images/index_gr_8.gif]

[Graphics:Images/index_gr_11.gif]

 

[Graphics:Images/index_gr_12.gif]

の力を考えてみよう。積分は(0,0,0)から(2,2,2)までとし、この簡単な場合として、直線で積分しよう。積分路の傾きは一定で、[Graphics:Images/index_gr_13.gif](1,1,1)であることから、線素ベクトルは

[Graphics:Images/index_gr_14.gif]

と書ける。パラメーターtを導入すれば、

[Graphics:Images/index_gr_15.gif]

とできる。したがって、

[Graphics:Images/index_gr_16.gif]
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[Graphics:Images/index_gr_18.gif]

この値は、U(2,2,2)-U(0,0,0)に一致する。

次に、積分路をもう少し複雑なものにしよう。パラメータtにより、

[Graphics:Images/index_gr_19.gif]
[Graphics:Images/index_gr_20.gif]

[Graphics:Images/index_gr_21.gif]

[Graphics:Images/index_gr_22.gif]

だから、Wは、

[Graphics:Images/index_gr_23.gif]

と与えられる。

[Graphics:Images/index_gr_26.gif]

 

問題)次の様な、積分路の場合を精度よく計算せよ。

[Graphics:Images/index_gr_27.gif]

ガウスの発散定理

電場Eは、電位Vの勾配である。

[Graphics:Images/index_gr_28.gif]

また、その発散は、内在する電荷eρに等しい。

[Graphics:Images/index_gr_29.gif]

ガウスの発散定理の積分形は、

[Graphics:Images/index_gr_30.gif]

と表せる。ここで、vは体積素、また、Sは面積素である。
実際に、この面積積分を計算してみよう。e=1の電荷を座標(1,2,3)において、10×10×10の立方体を体積とする。(原点、(10,0,0)、(10,10,10)を含む) 6つの面があるが、まず(0,0,0)-(10,0,0)-(10,10,0)-(0,10,0)-(0,0,0)で囲まれる面をAと名づける。同様に、B,C,D,E,Fも以下のように決める。

[Graphics:Images/index_gr_35.gif]

 

(0,0,0),(10,0,0),(10,10,0),(0,0,6),(10,0,6),(10,10,6)で囲まれる直方体内の等電位面を示すと以下のようになる。

[Graphics:Images/index_gr_36.gif]

電場のベクトルをみると、

[Graphics:Images/index_gr_40.gif]

 

と書けるから、

[Graphics:Images/index_gr_41.gif]

A面について、Eベクトルの(x、y)成分を、プロットすれば、

[Graphics:Images/index_gr_42.gif]

のようになり、z成分は描けない。そこで、z成分を(x、y)=(1,1)の方向に倒して、その強度をプロットすれば、

[Graphics:Images/index_gr_43.gif]

このようになる。この場合、面積積分は、A面がその面ベクトルの方向が、(0,0、−1)であることから、

[Graphics:Images/index_gr_44.gif]

と計算できて、B,C,D,E,Fの面についても、同様に

[Graphics:Images/index_gr_48.gif]

 

計算する。これらを数値的に計算してみよう。

[Graphics:Images/index_gr_49.gif]

これを計算すれば、1.00040674となり、4桁の精度でe=1が求まったことになる。

問題)高い精度で計算するには、どのように改善すればよいか?

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                                                       H.Kamada


Converted by Mathematica      March 15, 2002