量子力学  Quantum Mechanics  最終更新日:2011.5.25        第3、4年次 前学期 選択 2単位
              担当教員  岡本 良治

 1.目的

   近年、エレクトロニクスや物質工学の基礎および応用
  の分野において、量子力学の果たす役割はますます重要
  になってきている。さらに、情報科学との融合領域とし
  て量子コンピューターや量子暗号などの理解や応用のた
  めに必要不可欠である。本講義ではさまざまな局面で量
  子力学をいかに適用するかを中心として、量子力学の基
  礎的理解の徹底をはかる。

2.講義資料

授業計画および進捗状況は別記(九工大情報科学センターの教育支援サービス(Moodle)上に行います。

予習・復習など学習の仕方についてのアドバイス:

1) まずは大まかに捉えるべし

2) きちんと手順を踏んで覚えるべし

3) 何度も失敗を繰り返し覚えるべし

    (池谷裕二「記憶力を強くする」講談社、ブルーバックス、2001. P.139.より)

HPの利用法:各章の要約→例題→詳しい解説(*印ファイル)

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(*)印のファイル:
  やや詳しい解説なので、難しいかもしれないので、1回目は勉強する必要はありません。
  2回目以降の勉強のときか、簡単な解説に不満な人や、興味 がある人は勉強して下さい。

1)量子力学をなぜ学ぶか、量子力学の歴史

(要点)量子力学の世界 

量子現象と古典物理学の破綻
光電効果と光子説

物理量に対応する演算子とシュレディンガー方程式の「導出」 
量子力学を学習するべき理由と意義

量子力学の誕生と進化

量子力学の解説HP(高田健次郎氏(九州大学 名誉教授)) 

人は外界の事物を「直接に見ている」か?


(参考リンク)
シュレディンガー音頭 

解説:物理学における文字と、文字式の意味
 


(*)解析力学におけるハミルトンの運動方程式(ハミルトン形式)の役割
 

2)
量子力学の基本法則(1),(2)

(要点)量子力学の基本法則(1) 

(*)量子力学の基本法則(1)   

   エルミート行列についての解説は数学入門を参照のこと

 (完全)直交規格関数形についての解説は数学入門を参照のこと

  参考:粒子性と波動性について
    「高校生のための量子力学」http://www008.upp.so-net.ne.jp/takemoto/ryoshiron.html

例題:自由粒子に対するシュレディンガー方程式の導出 

例題:確率流れ密度
 

例題;確率流れ密度 の計算例(1) 

例題;確率流れ密度 の計算例(2)                  
例題:演算子の固有関数と固有値  

例題:座標演算子と運動量演算子 の交換関係

波動関数を上図(鉛筆書き風に)入力するとした図に確率密度が描かれる推奨リンク)
 http://phys.educ.ksu.edu/vqm/html/probillustrator.html

波束の散乱シミュレーション(推奨リンク) 
http://phys.educ.ksu.edu/vqm/html/wpe.html

例題:波束と群速度
 

(*)英語による量子力学入門(推奨リンク)
 http://www-theory.chem.washington.edu/~trstedl/quantum/quantum.html#Tunneling

例題:2準位系の固有値問題  
例題:縮退した2準位系の固有値問題(1) 
例題:縮退した2準位系の固有値問題(2)
 

(*)量子力学の基本法則(2)
    演算子の行列表現、シュレディンガー方程式の行列表示など
(*) 図:状態ベクトルとその射影(波動関数)
 

(*)デイラックのブラケット表示(ベクトル、行列、関数に対して)
 

3) 1次元系の量子力学

要約:1次元系の量子力学 2011.5.25微小ミス修正

(*)1次元系の量子力学    

                       
例題:対称ポテンシャルの下における波動関数の偶奇性
 

 

(3.0) 自由粒子

例題:周期的境界条件の下の自由粒子 


3.11次元無限井戸型ポテンシャル

例題:無限量子井戸における量子化エネルギーと光子の波長 

例題:量子効果と熱エネルギーの比較  

例題:無限量子井戸のド・ブローイの物質波の定在波条件による解法 

例題:無限井戸型ポテンシャルに対するシュレディンガー方程 式の解(0)
                    
例題:無限井戸型ポテンシャルに対するシュレディンガー方程式の解(1)

例題:無限井戸型ポテンシャルに対するシュレディンガー方程式の解(2)

3.2) 1次元有限井戸型ポテンシャル

1次元有限井戸型ポテンシャルのエネルギー準位の計算と描画(リンク)
 http://phys.educ.ksu.edu/vqm/html/eband.html

3.31次元調和振動子

例題:調和振動子の波動関数からのポテンシャル、エネルギーの推定1 
例題:調和振動子の波動関数からエネルギーの推定
 

例題:調和振動子系における不確定性関係 
3.4)量子トンネル効果
(確率流れ密度に関連する予備知識、連続方程式について予習が必要な人は、
    (旧)
物理学IIAのホームページ、電流と抵抗の項(徐々に追加)を参照のこと。) 

 トンネル効果のシミュレーション(リンク) http://phys.educ.ksu.edu/vqm/html/qtunneling.html

 トンネル効果のシミュレーション(リンク) http://phys.educ.ksu.edu/vqm/html/wfsketcher.html

例題:階段型ポテンシャル障壁の反射と透過(入射エネルギーが障壁より低い場 合)  20111.27更新

例題:階段型ポテンシャル障壁の反射と透過(入射エネルギーが障壁より高い場 合)  20111.27更新

例題:矩形(長方形)ポテンシャル障壁におけるトンネル効果(透過係数)(1)  (pdfファイル) 

例題:矩形(長方形)ポテンシャル障壁におけるトンネル効果(透過係数)(2) (pdfファイル) 

4) 2次元系の量子力学
要約:2次元系の量子力学
 

 

(*)説明:2次元系の量子力学 


例題:2次元量子箱
 

例題:2次元調和振動子 

例題:2次元における角運動量(pdf file
例題:2次元回転子のエネルギー

 

5) 3次元系の量子力学(軌道角運動量と球対称ポテンシャルを含む)
要約:3次元系の量子力学
 

要約:量子力学における軌道角運動量 

(*)説明;3次元における量子力学(軌道角運動量と球対称ポ テンシャル) 

 

例題:3次元角運動量演算子の交換関係1 
:3元 軌道角運動量演算子の交換関係2 

(*)例題:軌道角運動量の表現行列の導出 

6) 水素原子および水素状原子

要約:水素原子の量子力学 

(*)説明:水素原子の量子力学 

例題:不確定性関係の適用(水素原子の基底状態エネル ギー近似計算) 

題:水素原子の基底状態における電子の最大存在確率を与える「半径

) 近似法1(摂動論)

解説:摂動論 

補足的解説:電気双極子と磁気双極子 

例題:2準位系における厳密解からの近似 

題:無限井戸型ポテンシャルへの摂動1(一次の シュタルク効果) 

題:無限井戸型ポテンシャルへの摂動2 

説:周期的に変動する外力をうける2準位系ーRabi振動システム 
例題:電荷を持つ1次元調 和振動子に対する時間依存する 電場の摂動 

8)近似法2(変分法)
解説:変分法
 

例題:1次元調和振動子の基底状態の変分 計算 
例題:水素原子の基底状態の変分計算(1)ガウス 関数型試行 関数 
 

例題:水素原子の基底状態の変分計算(2)指数 関数型試行 関数 

) スピン, 一般化角運動量、角運動量合成

要約:スピンと角運動量の合成とその応用 

  (*)説明:スピン、一般化角運動量、角運動量合成 
 (*)スピン軌道相互作用の起源と実例 

例題:スピン演算子の性質1 

例題:スピン演算子の性質2   
(*)例題:スピン演算子の行列表現の導出(1)
(*) 例題:スピン演算子の表現行列の導出(2

例題: 電子の軌道角運動量、スピン角運動量の合成 

題:摂動としてのスピン軌道結合エネルギー 

10) 電子と電磁場との相互作用

要約:電子と光(電磁場)との相互作用 


1) 多粒子系
要約:多粒子系の量子力学  

要約:多電子原子 

例題: 2電子のスピン角運動量の合成 
題:2次元等方調和振動子の縮退 
例題: スピン相互作用1 
例題:スピン相互作用2 

12)結晶中の電子―エネルギーバンドー
13
) 散乱問題

 波束の散乱シミュレーション(リンク) http://phys.educ.ksu.edu/vqm/html/wpe.html

3.評価方法

  中間試験(30%),期末試験(40%)、演習レポート(30%)

4.履修上の注意

  本講義が十分理解できるためには、基礎量子力学、を修得していることが
  望ましい。

応用化学コース、マテリアル創成加工コースの3年生諸君へ
「量子力学」は全学科開講科目であること、
(選択必修科目であること)から学生便覧どおり、4年生前期にしか履修できないそうです。

しかし、3年生でも受講することは自由で、その場合の
成績評価について研究室まで相談に来てください。)

●教科書

原田勲・杉山忠男:量子力学I(講談社) 2011年度採用予定.

●参考書; 2-6)は現代的動向も含む印象的な本(2010.12.3記)

 1)原田勲・杉山忠男:量子力学II(講談社)

 2)上田正仁:現代量子物理学,(培風館)

 3) 堀裕和:電子・通信・情報のための量子力学,(コロナ社)

 4)北野正雄:量子力学の基礎,(共立出版)

 5)  D.R.ベス:現代量子物理学入門,(丸善プラネット)

 6)M. A. Nielsen, I. L. Chuang; 量子コンピュータと量子通信I ,(オーム社).

特に,2章.

 

(追加)
  小暮陽三「なっとくする演習・量子力学」(講談社)
         九工大図書館蔵(図書分類番号:K429.1, K-53, a-c

  P.R.ウォレス、「量子論にパラドックスはない」(シュプリンガー・ フェアラーク社) 
         九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1, W-22
        
           非常に刺激的でかつ説得力のある本。

 (量子力学を絵で説明した本)
  佐藤?監修「図解雑学ー量子力学」(ナツメ社)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,S,a

  佐藤勝彦監修「図解雑学ー量子論」(ナツメ社)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,S−42,a、b)

  都筑卓司「絵でわかる量子力学」(オーム社)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,T-23,c
 
    
小暮陽三「絵でわかる量子力学」(日本実業出版社)

  五十嵐靖則「量子論の世界がわかる」(ベレ出版、2003年)

 (入門書、解説書)

  並木美喜雄「量子力学入門-現代科学のミステリー-」(岩波新書、1992年)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,?)

  町田 茂「量子力学の反乱」(学習研究社、1994年)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,?)

  町田 茂「量子論の新段階」(丸善、1986年)
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,M-31

(ハイテクと量子力学の関係についての解説書)
  M.Y.ハン「ミクロの世界の主役たち-ハイテクにひそむ量子を探る-」(マグロウヒル社、1991年)
 
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1,H-35

   日本物理学会編「量子力学と新技術」(培風館、1987年)
 
    九工大図書館蔵(図書分類番号:429.1, N-16

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(量子力学の草創期に大きな役割を果たしたが、晩年まで否定的態度を続けたアインシュタイン
 の参考文献の一部)

 アインシュタイン関係写真集:杉本賢治「アインシュタインアドベンチャー」(現代数学社)
              九工大図書館蔵(図書分類番号:420.2/S-11
 アインシュタイン関係:中本静暁「関門・福岡のアインシュタイン」(新日本教育図書)
              九工大図書館蔵(図書分類番号:289.3/N-4