不連続状態、即ち束縛状態に対しは次の斉次方程式が成り立ち

(1.38)

正のエネルギー状態、つまり散乱状態に対しては非斉次方程式が成り立った。

(1.39)

この遷移演算子t(E)は エネルギーが負の場合も求まる。それでは、エネルギーが束縛に近付いた場合、いったい何が起っているのだろうか?(1.39)式を書き直してみれば、

(1.40)
(1.41)

であり、これを級数展開してみよう。

(1.42)
(1.43)

と書ける。ここで、エネルギーを束縛状態のエネルギーにとり、t を束縛状態に作用させると、

(1.44)

となるので、明かに発散する。これを、もう少し正確に扱ってみよう。(1.40)式から、

(1.45)
(1.46)

を得る。ここで、関数系の完備性
(1.47)

の関係式を(1.46)式に挿入すれば、

(1.48)


(1.49)

と書けて、t(E)が明かに E=Ebで特異点を持つことが分る。すなわち、

(1.50)
 

 :t(E)ー>∞
 

これによって、非斉次方程式の斉次な部分が解をもつことが分り、それを θとすれば、

(1.51)

を満し、

(1.52)

のように、 χ を使えば、

(1.53)

これは、(1.38)式そのものである。結局、

(1.54)

で、t の特異点は束縛状態に現れ、後述する3体系やそれ以上の少数多体系で重要な役割りを果す。



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