LSE 斉次方程式(1.38)式を(1.70)式の基底で書き表すと、波動関数Ψ(p)は
(1.98)
となり、l =0または2、s=j=1、t =0を仮定すれば、次の連立積分方程式を得る。この量子数に対して重陽子は存在している。
(1.99)
この方程式は数値的に解くことができる。現実的な核力は様々な測定量を再現するように作られる。この場合、測定量とは具体的に、
結合エネルギーEb=-2.2246 MeV
四重極子モーメント Q=0.2859 fm2
(但し、中間子交換流による理論的不確実さを伴う)
漸近的規格化定数 As = 0.8883 fm-1/2
規格化定数の S 波、D
波の比 Ad/As = 0.02564
重陽子の D 波の存在比 Pdは直接測定できない量で、これが原子核の結合エネルギーに大きく関係している。このことについては、後で詳しくのべる。一般に、小さな Pd 程、三重水素(トリトン)やヘリウム4(アルファ粒子)の結合エネルギーは大きくなる。
(1.100)
さて、重陽子の中の1核子の運動量分布を考えてみよう。
(1.101)
(1.102)
ここで、
(1.103)
だから、
(1.104)
となる。ここで、
(1.105)
(1.106)
を使えば、
(1.107)
を得る。クレブッシュ - ゴルダン係数の性質
(1.108)
より、(但し、
)
(1.109)
(1.110)
(1.111)
様々な現実的ポテンシャルによる1核子の運動量分布を次に示す。それぞれの核力の違いは 運動量kが 1fm -1 を超えた辺りから見えはじめる。
S 波
D 波
全波 = S 波 + D 波
_______________ RhurPot potential
_ _ _ _ _ _ _
_ AV18 potential
----------- Nijmegen
I potential
..................................
Bonn B potential
核子 - 核子の相関関数を考えてみよう。即ち、2つの核子が
r の距離に存在する確率を関数化したもので、
(1..112)
(1.113)
(1.114)
と定義できる。この場合、座標空間での波動関数は運動量表示の波動関数のフーリエ変換によって得られる。
(1.115)
核子ー核子の相関関数をS 波と D
波に分けてグラフにした。近距離では相関が小さくなっているのは、核力の近距離で強い斥力が働いていることの現れである。
S 波
D 波
全波 = S 波 + D
波
_______________ RhurPot potential
_ _ _ _ _ _ _
_ AV18 potential
----------- Nijmegen I
potential
..................................
Bonn B potential