原子力概論質問
核分裂およびその連鎖反応 2003.1.8 配布問題について
問1. 次の文中の空欄に適切な語句、式あるいは数値をいれよ。
〜(省略)〜
〜と理解される。
アインシュタインの関係式によれば、核分裂反応
で放出されるエネルギーは、一個当たり
[ ]Jである。
先生が授業で行った解答ですが、(チ)の解答は3で、(リ)の解答は次のようになっていました。
となっていますが、ウランに熱中性子が一個入って核分裂すると考えたら、次のようになるのではないでしょうか?
そうすると、先生の解答と、数値が変わってくるのですが、どうでしょうか?
貴君の指摘は十分に根拠のあることです。 鋭い指摘に感謝します。
1) 235U--> 90Kr + 142Ba +3n
は通常の核分裂(=中性子誘起核分裂)の反応式としては貴君の指摘のように正しくありません。
しかし、中性子を吸収しない核分裂(=自発核分裂)の反応式としては間違ってはいません。
核分裂プリントの6ページあたり、1.1.7誘起核分裂と自発核分裂。
そこには235Uの自発核分裂の半減期が1.8x10**{17} yearと記されています。
2)問題文章中には核分裂とは書かれていますが、誘起核分裂と自発核分裂の
区別はされていません。 したがって、講義中に私が中性子誘起核分裂と言ったとしたら、
その点は間違いです。そうであれば、お詫びして訂正します。
3)この問題は1985年における某国立大のれっきとした入試問題なのです。
したがって、当時も今も自発核分裂について入試問題には出題すべきではないと、私は思います。
4)ただ、貴君が指摘するように中性子誘起核分裂とすると、
(チ)の解答は3ではなく4になります!
もちろん、誘起核分裂と自発核分裂では質量欠損も解放されるエネルギーの大きさも少し異なります。
5)私の準備している同様の問題ではすべて中性子誘起核分裂についての問題であって、自発核分裂については問題にしたことはありません。
自主的、批判的判断と再構成しようとする態度をもつようにするのが教育の根本的目的である
という考え方が正しいとすれば、貴君の今回の態度はまったくそれに合致する実例です。
2003.2.13 岡本良治