最終更新期日:2002.10.21
量子多体系特論

                        担当教官:岡 本 良 治  2単位

1.目的

 近年、量子多体問題の手法とコンピュータの発達により物質の電子論的(第一原理的)な
理解が深まってきて、いくつかの方法は物性物理(半導体、表面物理、金属)、原子物理、
原子核物理、量子化学、材料工学など理工学の諸分野において物質理解または物質設計
の面で応用されつつある。
 本講義では量子多体系の種々の分野から物理的モデルを例題としてとりあげ、量子力学
的センスと基礎的技法の養成を目指す。

2.授業計画

0.量子力学の復習、ガイダンス

「量子力学」講義を受講していない場合、または復習する場合

1. 一体問題における摂動論、結晶などの媒質中の一体問題

2.量子力学における多体系の取り扱い方

      重心・相対運動の分離、運動量保存則、角運動量保存則、水素原子、He原子他

3.多体問題の一体近似(Hartree法,Hartree-Fock法,Hartree-Fock-Roothann法)

4.Thomas-Fermi法

5. 密度汎関数法入門

6.多粒子系における素励起(フォノン他)

7. 多粒子系における摂動論入門


3.評価方法

 レポート、積極的態度によって総合的に評価する。

4.履修上の注意

 本講義が十分理解できるためには、「量子力学」(学部)、「量子力学特論」(大学院)
の科目を修得していることが望ましい。

5.参考書
 1.W.グライナー「量子力学」、シュプリンが―・フェアラーク東京。特に14、15章
 2.山内恭彦、武田暁、「量子物理学」(裳華房)。
 3.R.G.パール、W.ヤング「原子・分子の密度汎関数法」、シュプリンが―・フェアラー
                               ク東京。
 4.里子允敏、大西楢平「密度汎関数法とその応用、分子・クラスターと電子状態」
                    (講談社サイエンティフィック)。
 5.川畑有郷「電子相関」丸善。